省略はダメなのか

なぜ省略がダメなのかについて書いてみました。読む前に、注意して欲しいのは Admin (Administrator) など一般的な省略と、Updt(Update)などの一般的ではないオレオレ省略の2つは異なるという事です。これを混同してしまうと読みにくくなるので、注意してください。

1. 読みやすさ

人間は文章などを読む時、1つ1つの文字を読んでいるのではなく、まとまった文字の塊を絵のように見て認識しています。ちょっと実験をしてみます。下の文章が読めるでしょうか。

“わがはい は ねこ である。なまえ は まだない。どこで うれまたか とんと けんとう が つかぬ。なんでも うぐすらい じめじめした ところで ニーャニャー ないていた ことだけ は きおくしている”

これは、日本ハグ境界のマザーとしこさんのブログを参考に作った文章です。実は、いくつか誤字があります。でもなんとなく読めますね。これは、人間が文字をまとまった塊で見ているという事を意味しています。また、読慣れた文章であれば推測しながら読む事もできます。

ではこれはどうでしょうか。

“USRSTSUPDT”

いらっとしますね。見慣れた書き方は、絵として認識できるので、すぐに理解することができます。しかし、見慣れない書き方では、U – S – R … と1文字ずつ読み、さらに元の単語を推測しなければならないので、それが何を意味しているのかを理解するまでに時間がかかってしまいます。まるでこれは暗号です。

ネーミングする事と手紙を書くことは似ています。あなたは、メールを書く時あなたは読む人の事を思い浮かべながら “どう表現すれば伝わるか” 考えながら書きますよね。ネーミングも同じです。暗号である必要はありません、シンプルに伝わればいいはずです。

2. 声に出せる

例えば会議中に、先ほどの暗号(USRSTSUPDT)をリネームした事を会議でプロジェクトメンバーに口頭で伝える事を考えます。なんて伝えるでしょうか?

「ユーエスアールエスティーエスユーピーディーティー をユーエスアールエスティーエスユーピーディーディーティーに変更しました」…

 

うんざりです

声に出せる事は、みなさんが思っているよりも大切な事です。なぜなら、発音できなければ、メールやExcelに頼ったコミュニケーションしかできなくなってしまうからです。シンプルに口頭で伝える事ができれば、その場でディスカッションできますからね。

3. 書略はダメなのか

一つ勘違いしないで欲しいのは、一般的な省略と、Updt(Update)などの一般的ではないオレオレ省略の2つは異なるという事です。例えば、IdIdentifierのどちらがみなさんによってより一般的で直感的でしょうか?、おそらくIdの方が、馴染みがあるのではないでしょうか。

一般的に省略がダメと言われる理由の1つは、一般的ではない(つまり慣れていない)という理由からです。もし、省略形の方が一般的なのであれば、省略形を選択する事を考えてもいいと思います。短い方が読みやすいのも事実だからです。もちろん、統一する事を前提として、どちらが一般的かをよく吟味する必要があります。

4. まとめ

大切なのは“省略がダメ”とかではなく、“シンプルに伝わか?”という事です。また、何が伝わりやすいかは、プロジェクトメンバーのレベルや会社の文化によっても変わってきますので、よく考えてネーミングを考えましょう。

(なぜOracleの識別子は30バイトなんでしょうか)


Kenji in codic

codic のリードプログラマー / デザイナーです。時間があれば、英語やネーミング、NLPについて研究したりしています。